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労働基準法

会社の都合で労働者を突然に解雇できない

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会社の経営者の中には、労働者の処分は自由にできると思っている人がいます。

労働者が生意気な態度を取ったとか、ちょっと気に入らないといった理由で、突然労働者を解雇する使用者がいます。

 

いくら法律で対等といっても、実際は使用者と労働者とでは立場に大きな違いがあります。

 

労働基準法と労働契約法

「労働基準法」も「労働契約法」も労働者に関する法律です。

 

労働基準法は、労働条件について最低基準を法律で定めたものです。

対して、労働契約法は、使用者と労働者の間で交わされる労働契約に関するルールを定めたものです。

労働基準法は、行政による指導や罰則がありますが、労働契約法は配慮とか無効と定められているにとどまっています。

 

労働契約法には、労働者と使用者が自主的に自由に、労働契約が合意によって取り交わされることが決められています。

また、労働契約には、労使対等、均衡考慮、仕事と生活の調和への配慮、信義誠実、権利濫用の禁止、の5原則が定められています。

 

そして、労働契約法の16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とされる。」となっています。

 

一般的に解雇理由として認められる場合

解雇が認められるには、合理的で社会通念上相当である必要があるわけですが、合理的とか社会通念とはどうもややこしいですね。

 

では、一般的にどのような事情が解雇理由として認められるのでしょうか。

①病気、事故などによって、業務上必要な体力や技能を喪失しており、回復の見込みがないような場合

②労働者が違法行為によって処罰され、使用者の業務に従事することが許されないような場合

③業績が著しく悪化し、解雇が事業の経営上必要不可欠と考えられる場合

④就業規則などの職場規律に対して重大な違反があった場合

といった場合には解雇が認められているようです。

 

就業規則とは

就業規則とは、労働者が就業するにあたって守らなければならない、会社の規律及び労働条件です。

いうなれば、会社のルールです。

 

ただし、就業規則に定める労働条件は、労働基準法の基準以上でなければならず、もしも、就業規則が労働基準法を下回る場合は、その部分は無効になります。

 

就業規則を定めた場合は、その事業場における労働条件の最低基準になり、この就業規則を下回る労働条件を定める労働契約はその部分について無効となります。

無効となった労働契約の労働条件は、就業規則に定める基準によることになります。

 

就業規則などの職場規律に対する重大違反を理由に解雇する場合

就業規則などの職場規律に対して、労働者が重大違反をおかしたために解雇する場合は、以下の観点から合理的かを判断されるようです。

①経営上解雇が必要

②解雇対象者の人生に合理性がある

③使用者と労働者が説明をし、協議を尽くした

④使用者が解雇を回避するための努力をしたことが認められる

①~④のいずれも満たされないと認められないようです。

 

解雇できない解雇制限期間

使用者は、労働者が業務上負傷し、疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が産前産後休業する期間及びその後30日間は、解雇できません。

労働者保護の観点から解雇制限期間が設けられています。

 

契約期間の満了により労働契約が終了する場合は、解雇制限期間とは関係ありません。

 

不当な理由で労働者を解雇すると

ここまで見てきたように、労働者を解雇することは簡単ではありません。

労働者がちょっと気に入らないといった理由で解雇していては、解雇される方もたまったものではありません。

 

不当な理由で解雇された労働者は、労働基準監督署に相談したり、裁判上の手続きにより解雇無効確認を求める可能性があります。

理由のない解雇は無効ということです。

 

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