大学生のなかには、アルバイトは社会人と違って労働基準法の対象にならないと思っている人がいますが、アルバイトも社会人と同じ労働者なので労働基準法の対象です。
労働法に詳しい大学生はなかなかいませんが、アルバイト先の責任者も実は労働法をよく知らないという人は多かったりします。
酷い責任者になると、相手の無知につけこんで労働法を守らない人もいます。
労働力を安く買いたたかれないためにも、働く場合の法律を最低限は知っておくのが良いでしょう。
アルバイトも労働基準法の対象
アルバイトも労働者であることを知り、働くときに気を付けるポイントを知っておくとよいでしょう。
アルバイトをめぐっては、かなりトラブルが多いです。
アルバイト募集では、最低賃金を下回る時給で募集しているのをよく見かけますし、タイムカードの打刻をしてから働かされることもあります。
アルバイトであっても、労災保険や雇用保険といった労働保険の対象になるのに、「アルバイトはうちでは対象にならない」などと言われて泣き寝入りした人もいます。
アルバイトは、企業にとっていいように使える扱いやすい労働者ではないはずです。
アルバイトだからと我慢せず、自らルールを知って訴えることが、自分たちが働いている職場の改善にもつながります。
まずは、アルバイトは労働者という認識を持つことが大事です。
労働契約法という法律では、労働者と使用者は対等の立場で労働契約を交渉し、合意することによって成り立つとしています。
働く以上、賃金や労働時間、仕事内容をきちんと確認しないと、あとから「聞いてない」「話が違う」ということにもなりかねませんから、希望を伝えたうえできちんと労働条件を確認することが大事です。
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労働基準法は最低基準を定めた法律
アルバイトとして働く場合も労働基準法は適用されますが、労働基準法は働く上での最低基準を定めた法律です。
本来は全部の労働法を知っておくのがよいのですが、それでは大変ですから、ここでは特に知っておくとよいものをピックアップしておきます。
・労働契約時に労働条件を記載した書面を渡さなければならない。
・労働時間が6時間を超えるときは45分、8時間を超えるときは1時間の休憩を与えなければならない。
・アルバイトでも6か月以上働けば有給休暇が与えられる。
・夜10時から翌日の朝5時までは深夜労働の割増賃金が必要(25%割増)。
また、最低賃金法によって、都道府県ごとに時給当たりの最低賃金が定められていることも確認しておくと良いでしょう。
最低賃金は、毎年10月に改訂されることが多いのですが、中小企業や個人事業だと上昇に気づかず、知らないうちに最低賃金を下回ってたなんてこともよくあります。
アルバイトも労働保険の対象
職場でケガをした場合は、労災保険(労働者災害補償保険)という保険から補償が受けられます。
アルバイト先の責任者が「アルバイトは労災保険の対象外」といっても、法律でアルバイトも労災保険の対象とされています。
アルバイト先の責任者が勝手に法律を曲げることはできません。
また、雇用保険についても適用要件を満たすことにより、アルバイトであっても被保険者になります。
雇用保険では、①1週間の所定労働時間が20時間以上あること、②31日以上の雇用見込みがあること、の2つの要件を満たせば原則として被保険者となります。
被保険者として要件を満たせば、当然ですが雇用保険の給付対象にもなります。
雇用保険では、失業したときの基本手当や、教育訓練を受講した場合の教育訓練給付金といった金銭給付があります。
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派遣社員に対する責任
アルバイトと共に大学生や若年層に人気の派遣労働ですが、当然、派遣社員にも労働法は適用されます。
派遣労働者については誤解も多いので、ここで説明しておきます。
派遣の登録をしに行く会社が派遣元になり、派遣社員として派遣される職場が派遣先になります。
派遣社員の場合は、労働契約を締結するのは派遣元です。
就業先の労働条件については、派遣元が書面で明示しなければなりません。
労働条件と違う仕事を派遣先から指示された場合は、書面に記載がない以上、従う必要はありません。
派遣元と労働契約を締結するので、労災保険や雇用保険といった労働保険も派遣元のものとなります。
ただし、派遣という特殊性から、例外として派遣先に責任を負わせてるものもあります。
例えば、労働時間が8時間を超える場合は労働者に1時間の休憩を与えなければなりません。
この休憩時間を与える責任まで派遣元に負わせるよりは、派遣先に負わせた方が実態として正しいので、例外として派遣先に責任を負わせています。
さいごに
電通では、パワハラや長時間労働が日常化しており、日々の業務に疲れた若手社員が自殺に追い込まれて社会問題となりました。
最近では、インターンシップを利用して企業が労働力を買いたたいていることが問題視されています。
しかし、ニュースになっていないだけで労働トラブルは身近に起こっている出来事です。
アルバイトであっても、時間外にタダ働きさせられたり、休みたいのに休ませてもらえなかったり、無理やりシフトを組まれたりなど、アルバイト経験者の6割以上がトラブルを経験しています。
アルバイトとして労働力を安く買いたたかれないためにも、最低限の知識を身に付けておくことが必要です。