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後期高齢者医療制度

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従来の老人保健制度に代わって実施されているのが、主に75歳以上の高齢者を対象とする「後期高齢者医療制度」です。

後期高齢者医療は、老人保健法を改正することによって制定された「高齢者の医療の確保に関する法律」を根拠としています。

 

制度が始まるときは、後期高齢者という言葉のイメージが悪いと言われて不評でしたが、健康保険や国民健康保険と比べてかなり被保険者に有利なものとなっています。

年々膨らむ医療費が問題となっていることから、たびたび見直しについての意見も出ています。

後期高齢者医療制度について

後期高齢者医療制度は、「高齢者の医療の確保に関する法律」をもとに実施されている医療保険制度です。

昭和58年から施行されていた老人保健法を、平成20年に全面的に改正してできたのが高齢者の医療の確保に関する法律です。

 

高齢者の医療の確保に関する法律では、医療費の適正化を図るための計画を立て、健康診査等を実施するとともに、前期高齢者に係る保険者間の費用負担を調整し、後期高齢者の医療の給付に必要な制度を設けます。

高齢者の医療の確保に関する法律

この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もつて国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。

 

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後期高齢者医療給付

後期高齢者の医療では、高齢者の疾病、負傷または死亡に関して必要な給付を行うことになっています。

後期高齢者の医療は、国民健康保険と同様、法定給付と任意給付に大別できます。

そして、法定給付はさらに絶対的必要給付と相対的必要給付とがあります。

 

後期高齢者医療の給付についても国民健康保険と同様の給付が行われています。

主な医療給付

療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費、葬祭費、葬祭の給付

 

また、被保険者が保険料を滞納して被保険者資格証明書が交付されている場合は、国民健康保険と同様に現物給付が行われず、特別療養費の対象となります。

 

後期高齢者医療広域連合

後期高齢者医療制度では、都道府県ごとに設置された後期高齢者医療広域連合が主体となって、市町村とともに運営します。

後期高齢者医療制度では、後期高齢者医療広域連合が事実上の保険者となり、市町村は後期高齢者医療の事務を処理します。

 

後期高齢者医療広域連合は、後期高齢者の被保険者に被保険者証を交付し、被保険者は保険料を納め、被保険者証を提示して診療を受けます。

後期高齢者医療の被保険者が、医療機関で療養を受けるときは被保険者証を提示すれば1割の負担で診療を受けることができます。

 

被保険者

後期高齢者医療には、被扶養者という概念がありません。なので、後期高齢者医療では健康保険のような家族療養の給付がありません。

また、被保険者が保険料を滞納したため、被保険者資格証明書の交付を受けている間は療養の給付が行われず、特別療養費の対象となります。

 

後期高齢者医療では、65歳以上74歳以下を前期高齢者、75歳以上の人を後期高齢者として扱っています。

75歳以上の人は必然的に後期高齢者の被保険者になりますが、65歳以上の前期高齢者でも一定の障害があって後期高齢者医療広域連合の認定を受ければ被保険者になることがあります。

 

後期高齢者医療の被保険者

1.後期高齢者医療広域連合の区域内に住む75歳以上の者

2.後期高齢者医療広域連合の区域内に住む65歳以上75歳未満の者であって、政令で定める程度の障害があることについて後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者

 

後期高齢者医療制度の費用負担

高齢者は医療が高額になりやすいことから、厚生労働大臣は全国の医療費適正化計画を定めて公表し、都道府県も都道府県の医療費適正化計画を定めています。

後期高齢者医療制度の財源については、被保険者が1割を負担し、現役世代が4割を負担、5割を公費から負担することで賄われています。

 

75歳以上の被保険者の保険料は、市町村が徴収し、後期高齢者医療広域連合に納付します。

保険料の徴収は、公的年金から控除する特別徴収を原則にしていて、特別徴収されない場合に普通領収で行われます。

 

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