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労災保険法

労働者災害補償保険(労災保険)の業務災害と通勤災害

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仕事中に起きた事故を対象にした保険として知られる労働者災害補償保険(以下労災保険)。

労災保険は、業務が原因で起きた事故を補償する保険として知られていますが、それだけではありません。

職場に向かう途中に起きた災害(以下通勤災害)についても保険の対象としています。

 

また、労災保険には、定期健康診断で異常が見られた場合に脳血管疾患の状態を検査する「二次健康診断」もあります。

 

労働者災害補償保険(労災保険)の目的

労働者災害補償保険法第一条

労働者災害補償保険(以下、労災保険)は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

労働者災害補償保険法の対象

・業務が原因で起こった負傷、疾病、死亡

・通勤の途中に起こった負傷、疾病、死亡

・二次健康診断等給付

 

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業務災害とは

業務災害は、労働者の業務上の事由による負傷、疾病、傷害、死亡をいいます。

業務災害と認定される為には、①業務遂行性があり、②業務に起因して負傷等が起きていることの二つの要件を満たすことが必要とされています。

 

業務災害の対象とされる疾病については、労働基準法施行規則別表1の2に列挙されています。

この労働基準法施行規則別表1の2のいずれにも該当しないものは、業務上の疾病とは認められないことになります。

最近よく聞くようになった「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(脳・心臓疾患等)」や「心理的負荷」については、それぞれ第8号、第9号に列挙されています。

 

労働基準法施行規則別表1の2

一 業務上の負傷に起因する疾病

二 物理的因子による次に掲げる疾病
1 紫外線にさらされる業務による前眼部疾患又は皮膚疾患
2 赤外線にさらされる業務による網膜火傷、白内障等の眼疾患又は皮膚疾患
3 レーザー光線にさらされる業務による網膜火傷等の眼疾患又は皮膚疾患
4 マイクロ波にさらされる業務による白内障等の眼疾患
5 電離放射線にさらされる業務による急性放射線症、皮膚潰瘍等の放射線皮膚障害、白内障等の放射線眼疾患、放射線肺炎、再生不良性貧血等の造血器障害、骨壊死その他の放射線障害
6 高圧室内作業又は潜水作業に係る業務による潜函かん病又は潜水病
7 気圧の低い場所における業務による高山病又は航空減圧症
8 暑熱な場所における業務による熱中症
9 高熱物体を取り扱う業務による熱傷
10 寒冷な場所における業務又は低温物体を取り扱う業務による凍傷
11 著しい騒音を発する場所における業務による難聴等の耳の疾患
12 超音波にさらされる業務による手指等の組織壊え死
13 1から12までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他物理的因子にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

三 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する次に掲げる疾病
1 重激な業務による筋肉、腱、骨若しくは関節の疾患又は内臓脱
2 重量物を取り扱う業務、腰部に過度の負担を与える不自然な作業姿勢により行う業務その他腰部に過度の負担のかかる業務による腰痛
3 さく岩機、鋲打ち機、チェーンソー等の機械器具の使用により身体に振動を与える業務による手指、前腕等の末梢循環障害、末梢神経障害又は運動器障害
4 電子計算機への入力を反復して行う業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による後頭部、頚部、肩甲帯、上腕、前腕又は手指の運動器障害
5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他身体に過度の負担のかかる作業態様の業務に起因することの明らかな疾病

四 化学物質等による次に掲げる疾病
1 厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)にさらされる業務による疾病であつて、厚生労働大臣が定めるもの
2 弗素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂の熱分解生成物にさらされる業務による眼粘膜の炎症又は気道粘膜の炎症等の呼吸器疾患
3 すす、鉱物油、うるし、タール、セメント、アミン系の樹脂硬化剤等にさらされる業務による皮膚疾患
4 蛋たん白分解酵素にさらされる業務による皮膚炎、結膜炎又は鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患
5 木材 粉じん 獣毛 じんあ 等を飛散する場所 おける業務 は抗生物質等 さらされる業務 よる ギ 性 鼻炎 気管支喘ぜん息等 呼吸器 木材の粉じん、獣毛のじんあい等を飛散する場所における業務又は抗生物質等にさらされる業務によるアレルギー性の鼻炎、気管支喘ぜん息等の呼吸器疾患
6 落綿等の粉じんを飛散する場所における業務による呼吸器疾患
7 石綿にさらされる業務による良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚
8 空気中の酸素濃度の低い場所における業務による酸素欠乏症
9 1から8までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他化学物質等にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

五 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法(昭和三十五年法律第三十号)に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則(昭和三十五年労働省令第六号)第一条各号に掲げる疾病

六 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病
1 患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患
2 動物若しくはその死体、獣毛、革その他動物性の物又はぼろ等の古物を取り扱う業務によるブルセラ症、炭疽病等の伝染性疾患
3 湿潤地における業務によるワイル病等のレプトスピラ症
4 屋外における業務による恙虫病
5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

七 がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病
1 ベンジジンにさらされる業務による尿路系腫瘍
2 ベーターナフチルアミンにさらされる業務による尿路系腫瘍
3 四―アミノジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍
4 四―ニトロジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍
5 ビス(クロロメチル)エーテルにさらされる業務による肺がん
6 ベンゾトリクロライドにさらされる業務による肺がん
7 石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫
8 ベンゼンにさらされる業務による白血病
9 塩化ビニルにさらされる業務による肝血管肉腫又は肝細胞がん
10 電離放射線にさらされる業務による白血病、肺がん、皮膚がん、骨肉腫、甲状腺がん、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫
11 オーラミンを製造する工程における業務による尿路系腫瘍
12 マゼンタを製造する工程における業務による尿路系腫瘍
13 コークス又は発生炉ガスを製造する工程における業務による肺がん
14 クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務による肺がん又は上気道のがん
15 ニッケルの製錬又は精錬を行う工程における業務による肺がん又は上気道のがん
16 砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは精錬を行う工程又は無機砒素化合物を製造する工程における業務による肺がん又は皮膚がん
17 すす、鉱物油、タール、ピッチ、アスファルト又はパラフィンにさらされる業務による皮膚がん
18 1から17までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他がん原性物質若しくはがん原性因子にさらされる業務又はがん原性工程における業務に起因することの明らかな疾病

八 長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病

九 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

十 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病

十一 その他業務に起因することの明らかな疾病

 

通勤災害とは

通勤災害は、労働者が通勤した場合に起きた負傷、疾病、傷害又は死亡をいいます。

通勤の範囲は労働者災害補償保険法施行規則18条の4に規定されています。

 

労働者災害補償保険法施行規則18条の4

「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」

 

通勤とは、労働者が就業に関し、以下のの移動を合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有する場合は除かれます。

①住居と就業の場所との間の往復

②厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

③住居と就業の場所との往復に先行し、又は後続する住居間の移動(省令で定める要件を満たす場合)

②は仕事を掛け持ちしている場合などで、③は単身赴任等の場合が当たります。

また、通勤であるためには、労働者が一般的に用いる経路であればよく、必ずしも申請している経路でなければダメというわけではありません。

通勤の際に経路の途中で日用品の購入をしたり、病院で治療を受けたりすることは通勤には該当しませんが、このような日常生活上必要な行為であって、やむを得ないと認められる最小限度のものは、その後に経路に服すれば通勤と認められることがあります。

 

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二次健康診断等給付

二次健康診断等給付は、脳血管疾患、心臓疾患の予防のために行われる労働者の健康のための保険給付のことです。

二次健康診断は、一時健康診断でいずれの項目にも異常があると診断された場合に行われる診断です。

 

まとめ

労働者災害補償保険は、労働者の業務が原因で起きるケガ、病気、死亡だけでなく、通勤途中で起こったケガ、病気、死亡も対象としています。

 

主な労働者災害補償保険の給付

・業務中の傷病、疾病、死亡等

・通勤が原因の傷病、疾病、死亡等

・二次健康診断等給付

 

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