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労災保険法

工事現場の職長・事業者の責任、労災隠しはなぜ起こる?

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高校と大学3年まで建設現場で働いていました。

建設現場では、木造大工と型枠大工を経験させてもらいました。

一応、職長教育と高所作業車といった現場でおなじみの資格も持ってます。

工事現場の職長・事業者の責任は重い

建設現場では気を付けていても事故や怪我は起きます。

特に経験の現場では要注意です。

ベテランでも新人でも新しい現場の場合にケガが集中するそうです。

現場仕事に慣れてない人は当然ですが、ベテランの人でも新しい現場だと事故にあいやすいという統計もあります。

 

私も高校から大学までの5年程度の期間を現場仕事をしましたが、その間に墜落事故で亡くなった人を2人知っています。その時は現場責任者が業務上過失致死として罪に問われました。

 

また、私自身も現場でケガをしています。1度目はハンマーで指をたたいてしまい爪が取れたのと、2度目は目に金属片が入り眼球を損傷したことです。

ケガをした場合、本人はもちろん辛いでしょうし、現場の責任者の責任も問われますので、いいことがありません。

労働局のホームページでは事故で現場責任者がどうなったかを紹介しています。

内装業者が墜落して死亡

転落と墜落の違いは、2m未満の落下か2m以上からの高さからの落下かの違い(確か)といわれています。

平成27年の3月に都内のビルの工事現場で内装業者が作業中に起きた事件です。内装業者が室内に設置した喫煙ボックスの天井の上に足場板を置き作業していると、足場を歩いている際に体勢を崩して2.15mの高さから墜落し、死亡しました。

この事件について労働基準監督署は、労働安全衛生法で定められた墜落防止措置を講じていないとして工事業者と職長を安全衛生法違反で書類送検しました。

足場からの転落で骨折事故

平成27年2月、稲城の工事現場で移動式の足場を使って作業員が作業していたところ、移動式足場が急に動き出して作業員が手すりを超えて2.3mの高さから墜落して両ひざを骨折し、脊髄も損傷するという大事故になったそうです。

この結果、八王子労働基準監督署は、この労働災害を起こした建設会社と資材担当者及び職長を労働安全衛生法違反の容疑で書類送検しました。

労災隠しはどうして起こるの?

「労災かくしは犯罪です」

これは、先日、病院に行った際に待合室に貼ってあったポスターに書いてあった言葉です。

このポスターは、厚生労働省が作ったもので、ポスターには労働災害には健康保険が使えないとも書かれてました。

労働災害がよく起こるのが建設現場ですが、建設業は労災の適用について他の業種とは異なる扱いがされます。

労災は場所で保険が適用されますが、建設業の場合は建物が建てば次は新しい現場に移ります。いわゆる有期事業といわれるものです。

法律では業務上による疾病や負傷は労災(労働者災害補償保険)が適用されることになっています。しかし、労災であることを隠して健康保険で治療を受ける人がおり、これについては犯罪とポスターには書いてあります。

 

実際、私も労災かくしを2度本人から聞いたことがあります。

一人目は大学時代の現場作業中に起きました。

同僚が資材を運んでいる際に不注意で指を資材で挟んで指が切断するといった事故を起こしました。しかし、会社は会社の自腹で病院に治療費を支払って労災扱いにしなかったそうです。

 

二人目は、現場で知り合ったおじさんの話です。

これもやっぱり現場仕事で働いていたときに起きました。作業中に上から資材が転がってきて、下で作業していたら骨折だか骨にひびが入ったそうです。これについては、本人には過失がなかったようですが、会社から後日、呼び出されて労災にしないでほしいといわれたそうです。黙っていてくれれば、お礼に金銭をあげるといわれ、二つ返事で了承したそうです。ちなみに会社は暴力団が運営していたそうです。

 

確かに業務上の事故については労災で治療を受けることになっていますが、建設業の労災保険の適用構造上なかなか無理があるような気がします。

何故なら、労災が起きた会社を親会社が再度、使うとは考えにくく、事故を起こした会社は親会社から二度と仕事を回してもらえないということが現実に起こるからです。

 

このままであれば、今後も引き続き労災隠しは起こると思います。

終わりに

建設現場では気を付けていても事故はつきものです。

建設現場での半数以上は、現場に新しく入る、いわゆる新規入場者というデータもあります。

ベテランでも新しい現場では注意が必要ということです。

 

 

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