厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額(標準報酬月額と標準賞与額の決定)に保険料率を乗じて決まります。
計算によって算出された厚生年金保険の保険料は、事業主と被保険者とで折半して負担します。
第1号厚生年金被保険者の保険料率は、毎年1000分の3.54ずつ引き上げられてきましたが、平成29年9月からは1000分の183で固定されています。
第4号厚生年金被保険者については、平成39年4月までに段階的に引き上げられ、すべての厚生年金被保険者の保険料率は1000分の183に統一される予定です。
厚生年金保険料の額の計算
健康保険と厚生年金保険の保険料は、それぞれ計算して合計額を納めます。
健康保険では、40歳以上65歳未満の被保険者は介護保険の被保険者になるので介護保険料が上乗せされます。
健康保険の保険料については「健康保険の保険料」に書いてます。
厚生年金保険の保険料は、「標準報酬月額×保険料率」によって計算されます。
厚生年金の保険料率 | 18.3% |
また、保険料は月額で計算されるので、被保険者期間が1日しかなくても1ヶ月の保険料が必要です。
厚生年金の保険料は被保険者と事業主で折半
事業主と被保険者は、厚生年金の保険料を折半で負担し、保険料の納付は事業主が行います。
事業主は、被保険者の当月分の報酬から前月分の保険料を徴収して、事業主負担分を加えて納付します。
また、被保険者に賞与を支払う場合についても、被保険者の負担分の保険料を賞与から徴収できます。
年3回を超えない範囲で支給される賞与は、3月を超えたら賞与ではなく報酬となります。
賞与は、支給額の1,000円未満を切り捨てた額が標準賞与額となります。
標準賞与額の保険料は、標準賞与額に毎月の保険料率を乗じて求めます。
標準賞与額×保険料率(183/1000)
厚生年金保険の賞与は、1ヶ月当たり150万円が上限となっており、150万円を超えるときは、150万円となります。
ちなみに健康保険の賞与は年度累計が573万円が上限となり、健康保険と厚生年金保険では賞与の扱いが異なります。
高齢任意加入被保険者(厚生年金保険の適用事業と被保険者)の保険料について、事業主が同意して半額を負担した場合は、高齢任意加入被保険者の報酬から控除して納付できます。
事業主の同意のない高齢任意加入被保険者についての保険料は、全額自己負担なので納付についても高齢任意加入被保険者が自分で行います。
保険料は、毎月20日頃に前月の保険料を計算した「保険料納入告知書」が送られます。
納付期限は末日までとなっています。
厚生年金保険法第83条
毎月の保険料は、翌月末日までに納付しなければならない。
納入場所には、年金事務所、健康保険組合、厚生年金基金、金融機関、郵便局がありますが、口座振替による納付もあります。
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厚生年金保険料の滞納
保険料を納付期限までに納めない場合は、期限を指定した督促状が送られてきます。
督促状に指定した期限までに保険料を完納すれば延滞金は徴収されません。
督促されたときは、納期限の翌日から保険料完納または財産差し押さえの前日までの期間に応じて、年14.6%の割合を乗じて計算した延滞金がかかります。
ただし、当分の間は軽減措置の特例が定められており、納付期限の翌日から3カ月を経過する日までは年2.6%、それ以降は年8.9%の延滞金がかかることになります。
督促を受けても、指定期限までに保険料を納付しない場合は、厚生労働大臣は国税滞納処分の例によってこれを処分、又は財産所在地の市町村に処分を請求することができる等、強制処分が行われます。
保険料の免除
育児休業等または産前産後休業をしている被保険者は、申出によって育児休業または産前産後休業を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係る保険料が免除されます。
産前産後休業期間と育児休業期間の保険料は、事業主が産前産後休業取得者申出書、育児休業等取得者申出書をそれぞれ提出することで被保険者と事業主の保険料が免除されます。
この免除期間は、免除されていないのと同様の被保険者期間となるので、この免除を受けたことによって年金が減額されません。
産前産後休業
産前産後休業期間とは、産前42日、産後56日のうち妊娠または出産によって労務に服さなかった期間をいいます。
産前産後休業終了日に産前産後休業に係る子を養育している被保険者は、「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を提出すれば、標準報酬月額の改定の対象になります。
休業前の標準報酬月額が、休業終了後の標準報酬月額(休業終了後の3カ月間に受けた報酬の平均に基づいたもの)との間に1等級でも差が出たら対象になります。
改定された標準報酬月額は、1月から6月までならその年の8月まで適用され、7月から12月までの改定なら翌年8月まで適用されます。
産前産後休業終了日の翌日に育児休業を開始している場合は申出ができません。
3歳未満の子を養育する育児休業等終了時の改定
満3歳未満の子を養育するために育児休業を取得する被保険者は、育児休業終了時に「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出すれば、標準報酬月額改定の対象となります。
育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額が、休業前の標準報酬月額と比べて1等級以上の差が出たら改定することができます。
3歳未満の子を養育する被保険者の申出に基づき、年金額の計算は標準報酬月額が下がる前のものとして計算されます。
改定された標準報酬月額の適用については、産前産後休業終了時の改定と同じです。