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障害厚生年金と障害手当金

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疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病により、障害厚生年金の要件に該当した場合は、障害厚生年金が支給されます。

厚生年金保険は、労働者の老齢障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的としていますが、この障害についての保険給付が障害厚生年金です。

 

障害年金には、国民年金の障害基礎年金と厚生年金の障害厚生年金がありますが、障害基礎年金が1級と2級があるのに対して、障害厚生年金は3級まであります。

 

老齢厚生年金は原則65歳からという年齢を支給の要件としますが、障害厚生年金は年齢を要件とするのではなく、初診日や障害認定といったものに該当するかどうかで支給が決まります。

障害厚生年金を受給するための要件

障害厚生年金の1級又は2級に該当した場合は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。

一人一年金の原則と併給調整

 

しかし、障害厚生年金を受けるには、以下の支給要件を満たさなければなりません。

・被保険者要件

・保険料納付要件

・障害の要件

 

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初診日要件(被保険者要件)

障害厚生年金が支給されるためには、疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病について、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日において被保険者である必要があります。

この初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日を「初診日」といい、初診日に被保険者でなければ障害厚生年金は支給されません。

 

初めて診療を受けた日なので、紹介状を受けて別の病院で診察を受けたとしても、最初の病院で診察を受けたときが初診日になります。

 

初診日に被保険者であればよいので、会社を辞めなければならない場合や70歳以上になる人は、前もって診療を受けておいたほうがいいかもしれません。

 

保険料納付要件

障害厚生年金が支給されるためには、原則として初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、保険料納付済期間と免除期間とを合算した期間が被保険者期間の3分の2以上必要です。

ただし、初診日において65歳未満の人は、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の期間(つまり滞納期間)がなければよい、という経過措置があります(初診日が平成38年4月1日前まで)。

 

厚生年金保険では、給与を受け取る前に保険料が徴収されるので、1年以上会社に勤務していれば普通は経過措置の要件を満たします。

国民年金でも同様の措置があるので、保険料の支払いが大変のときは免除の申請をしておくのがよいでしょう。

 

障害の要件(障害が1級~3級の状態にあるか)

障害厚生年金は、障害認定日において、障害等級が1級、2級、3級のいずれかに該当する障害の状態にある人が対象です。

 

障害認定日となるのは、次の①②です。

初診日から起算して1年6カ月を経過した日

傷病が治った日、傷病の状態が固定して治療の効果ができない状態になった日

 

障害等級の1級又は2級に該当しない場合は、障害厚生年金の3級や障害手当金が支給されます。

 

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障害厚生年金の額

障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の額の計算と同様ですが、障害厚生年金独自の決まりがあります。

・障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、300で計算します。

・障害等級1級に該当する障害厚生年金の額は、障害等級2級に相当する額の1.25倍となります。

・障害厚生年金の給付事由となった障害について、障害基礎年金を受けられないときに、その障害厚生年金の額が「780,900円×改定率(平成31年780,100円)×3/4」に満たないときは、その額が障害厚生年金の額になります。

780,100円×3/4=585,100円

 

配偶者加給年金

障害等級1級又は2級に該当する障害厚生年金には、受給権者によって生計を維持している65歳未満の配偶者がいるときは、加給年金額が加算されます。

障害厚生年金の加給年金は、配偶者のみが加算対象となります。

 

加給年金の額は、224,500円(平成31年)となっています。

 

障害厚生年金額のまとめ

1級=報酬比例の額×1.25+加給年金(224,500円)

2級=報酬比例の額+加給年金(224,500円)

3級=報酬比例の額 最低780,900円×改定率×3/4(585,100円)

 

(2019年11月追記、金額は平成31年度のもの)

 

障害手当金

障害手当金は、初診日において被保険者だった人が、保険料納付要件を満たし、初診日から5年を経過するまでの治った日において、1級から3級に該当しない障害状態にある場合に支給される一時金です。

 

障害手当金の額は、報酬比例の額の2倍です。

ただし、その額が「780900円×改定率×3/4×2」に満たないときは、「780900円×改定率×3/4×2(平成31年は1,170,200円)」の額となります。

 

障害手当金が支給されない場合

障害手当金の支給要件を満たしている場合でも、厚生年金保険や国民年金の受給権者には支給されません。

また、当該傷病について労働者災害補償保険(労災保険)の障害給付を受けている人にも支給されません。

 

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