年金の積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人によって運用されるため運用収入があります。
2018年度においての運用資産額は159兆2,154億円、運用収益は2兆3,795億円、収益率は1.52%でした。
積立金の運用収入もありますが、国民年金の給付の主な財源は、保険料及び基礎年金拠出金、国庫負担です。
国民年金の保険料
第1号被保険者は、基礎年金にかかわる部分の保険料を負担します。
第2号被保険者と第3号被保険者は、国民年金の保険料を独自に納めることはありません。
任意加入被保険者については、原則として第1号被保険者と同様ですが、保険料の免除・追納はありません。
また、第1号被保険者であって、独自給付である付加年金を受けたい人は、毎月400円を上乗せして納めます。
保険料の徴収は、第1号被保険者(任意加入被保険者も)の資格を取得した日の属する月から、その資格を喪失した日の属する月の前月まで行われます。
保険料の額
保険料の額は、平成16年度に決められた保険料額(16,900円)に保険料改定率を乗じて計算されます。
保険料の金額 16,900円×保険料改定率
保険料改定率は、毎年度、「前年度の保険料改定率×名目賃金変動率」を基準に改定されます。
名目賃金変動率=当該年度の初日の属する年の2年前の物価変動率×当該年度の初日の属する年の4年前の年度の実質賃金変動率(3年前から5年前の平均)
保険料改定率を乗じて得た額に10円未満の端数が生じたときは、四捨五入します。
追記:本来の国民年金は16,900円でしたが、平成31年4月から第1号被保険者に対しても産前産後期間の保険料免除制度が始まったため、保険料が100円引き上げられます。
令和元年度(平成31年4月から令和2年3月)
決められた保険料額 | 前年度改定率 | 保険料改定率 | 実際の保険料額 |
17,000円 | 0.967 | 0.965 | 16,410円 |
物価変動率1.005
実質賃金変動率0.993
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国民年金保険料の納付と前納
毎月の保険料納付は、法律によって翌月末日までにと決められています。
また、世帯主はその世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負い、配偶者は連帯して納付する義務を負います。
保険料の納付には、前払いすれば割引が適用される前納制度があります。
前納は、保険料を前払いで支払うことで、保険料が複利原価法によって割り引かれます。
(1)2年前納(4月~翌々年3月分)
(2)1年前納(4月~翌年3月分)
(3)6カ月前納(4月~9月分、10月~翌年3月分)
(4)当月末振替(早割) 1ヶ月早く納める
平成31年(令和元年)であれば、2年分の保険料379,640円を前払いすることで、15,760円の割引がされます。
保険料の免除
保険料の納付が困難な人には、保険料の免除制度があります。
保険料の免除制度には、法定免除と申請免除とがあります。
保険料の免除が行われた期間は、年金の受給資格期間に算入されます。
また、申請免除の期間は、保険料を納めたときに比べて2分の1は年金額に反映されます。
申請免除には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、学生納付特例、若年者納付猶予、50歳未満納付猶予といったものがあります。
申請免除は、その名の通り申請しなければ行われない点に注意が必要です。
法定免除
第1号被保険者が、次のいずれかに該当するに至ったときは、至った日の属する月の前月から該当しなくなる日の属する月までの保険料について、保険料の全額を納付する必要はありません。
1.障害基礎年金等の受給権者であるとき
2.生活保護法による生活扶助等を受けるとき
3.国立ハンセン病療養所、国立保養所等に入所しているとき
全額免除
前年の所得(1月から6月までの月分の保険料は前々年)が次の額以下であるときに対象となります。
1.単身世帯57万円
2.一般世帯 35万円×(扶養親族等の数+1)+22万円
また、全額免除では、世帯主や配偶者の所得の多寡が問われます。
また、他にも以下のような場合に適用されます(4分の3免除、半額免除、4分の1免除も)。
1.被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶助以外の扶助を受けるとき
2.地方税法に定める障害者であって、前年の所得が125万円以下であるとき
3.地方税法に定める寡婦であって、前年の所得が125万円以下であるとき
4.保険料の納付が著しく困難である場合として厚生労働省令で定めているとき
4分の3免除
4分の3免除の所得要件
1.単身世帯78万円
2.一般世帯 78万円+38万円×扶養親族等の数
半額免除
1.単身世帯118万円
2.一般世帯 118万円+38万円×扶養親族等の数
4分の1免除
1.単身所得158万円
2.一般世帯 158万円+38万円×扶養親族等の数
学生納付特例
大学等に通う学生は、以下の要件に該当すれば学生納付特例が受けられます。
当該保険料を納付することを要しないとする月が属する年の前年の所得(1月から3月は前々年)
1.単身世帯118万円
2.一般世帯 118万円+38万円×扶養親族等の数
なお、学生納付特例は本人についてのみの所得要件が問われますが、世帯主と配偶者の所得要件は問われません。
若年者納付猶予と50歳未満納付猶予
若年者納付猶予と50歳未満納付猶予の所得要件は以下の通り
1.単身世帯57万円
2.一般世帯 35万円×扶養親族等の数+22万円
また、若年者納付猶予と50歳未満納付猶予制度では、配偶者の所得要件が問われます。
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保険料の追納
申請免除や納付猶予を受けた人は、保険料を全額納めた人に比べて年金額が低くなります。
申請免除や納付猶予を受けた人は、保険料の追納制度を利用することで、保険料を後から納付することができます。
追納によりその期間の年金額が増えることとなります。
保険料の追納は、年金事務所に行き、厚生労働大臣の承認を受けることで行うことができます。
保険料の徴収には2年の時効がありますが、追納を行うことで承認日の属する月前10年以内の分について保険料を納められます。
ただし、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
また、滞納した保険料や付加保険料については追納が出来ません。
基礎年金拠出金
政府及び共済組合等といった厚生年金を実施している機関は、基礎年金拠出金を国民年金に拠出しています。
基礎年金拠出金は、第2号被保険者と第3号被保険者の基礎年金(老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金等)に係る部分です。
第2号被保険者と第3号被保険者は、個別に国民年金保険料を納めていませんが、厚生年金制度の実施者を通して負担していることになります。
といっても厚生年金で保険料を負担しているのは、第2号被保険者であって第3号被保険者は負担していません。
国庫負担
国民年金の給付に関する費用は、ほとんどの給付で2分の1が国庫負担によって賄われています。
4分の1免除、半額免除、4分の3免除、全額免除の期間についても、国庫負担が行われます。
例えば、全額免除期間は保険料を納めていませんが、半額が年金に反映されます。