健康保険と厚生年金の保険料は、標準報酬月額をもとにして計算します。
標準報酬月額をもとにして計算した保険料の額は、事業主と被保険者が折半で負担し、事業主が納付します。
賞与については、標準賞与をもとに保険料を計算し、賞与について計算した保険料も、事業主と被保険者が折半して負担します。
標準報酬月額
実際の給料は、毎月変動するので、これをこのまま保険料の基礎にすると計算が煩雑になります。
そこで、健康保険料および厚生年金保険料の計算では、1~50(厚生年金は31まで)までの等級区分に報酬月額を照らし合わせて計算します。
標準報酬月額は、月給、週給、日給、時間給等の名称にかかわらず、すべての報酬を反映して求めます。
定時決定
標準報酬月額は、毎年7月1日~10日までに4月~6月の報酬月額をもとにした報酬月額算定基礎届を提出します。
この時に求めた標準報酬月額は、9月から翌年の8月まで使用されます。
資格取得時決定
新しく人を雇用した人が資格を取得したときは、5日以内に資格取得の届を行い、標準報酬月額を決定します。
資格取得時決定の有効期間は、決定時期(被保険者資格を取得)が1月1日から5月31までの間にある場合はその年の8月まで、6月1日から12月31日までの間に被保険者資格を取得した場合は翌年の8月までとなります。
随時改定
標準報酬月額は、毎年7月に報酬月額算定基礎届を提出して決定しますが、1年の途中に昇給や降給があって大幅な変動があった場合は、報酬月額変更届を提出して標準報酬月額を改定します。
具体的には、継続した3か月間(いずれの月も基礎日数17日以上必要)に報酬の総額を3で割った額が、標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べ、2等級以上(著しく高低)差を生じた場合に随時改定の対象になります。
産前産後休業・育児休業終了時改定
産前産後休業をした被保険者が、産前産後休業を終了し、職場復帰した場合などで報酬が低下している場合は、申出により標準報酬月額を改定することができます。
また、3歳未満の子を養育する被保険者が、育児休業等を終了して職場復帰した場合などで報酬が低下している場合にも、申出により標準報酬月額を改定することができます。
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保険料額の計算
例えば、2018年の神奈川県の全国健康保険協会の保険料(協会けんぽ)率は、9.93%となっています。
40歳以上の人は、介護保険料も負担するので、介護保険料が上乗せされます。介護保険料率は1.57%です。
神奈川支部の保険料額
標準報酬月額 × 保険料率9.93% = 保険料額
ただし、介護保険料が上乗せされる人は、標準報酬月額 × 保険料率11.5%(9.93%と1.57%)が保険料額になります。
健康保険、介護保険の保険料(厚生年金も)は、事業主と被保険者で折半します。
ちなみに厚生年金保険の一般被保険者の保険料率は、2018年で18.3%です。
一般保険料は、原則として被保険者の資格を取得した月から資格を喪失した月の前月までが対象です。
被保険者の資格を喪失した月は保険料は徴収されませんが、この場合であっても同月に被保険者の資格を取得した場合は保険料が徴収されます。
保険料は給料から控除
事業主は、被保険者の当月分の給料から前月分の保険料を控除したうえで、事業主負担分を加えて納付する義務があります。
任意継続被保険者は、自分の保険料を納付する義務を自分で負います。
保険料の納付については、前月分の保険料を計算した保険料納入告知書が20日頃に送付されます。
事業主と被保険者が負担する保険料は、保険料納入告知書と一緒にその月の末日までに納付します。
納付方法には、口座振替や金融機関、郵便局等で支払うものがあります。
標準賞与額
年3回を超えない範囲で支給される賞与についても、保険料の対象になります。
標準賞与の保険料は、実際の賞与額から、1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に保険料率を乗じて計算します。
標準賞与額には上限があって、健康保険は年度累計が573万円とされています。ちなみに厚生年金保険は、1か月あたり150万円が上限です。
事業主は、賞与の支給をしたら5日以内に被保険者賞与支払届を年金事務所又は健康保険組合に提出します。