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ボランティア活動中に相手にけがを負わせた場合の責任

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団塊の世代による大量の定年退職により、様々な老後の過ごし方を見ることができます。

定年後は無理のない範囲で働く人がいれば、海外に移住する人、中にはボランティア活動に精を出す人もいます。

 

祖母が倒れたのを機に介護職員初任者研修(ヘルパー2級)を受講しましたが、受講者の中には費用を自分で出してまでボランティアのために受講するという人もいました。

今後は、年金を受け取りながらボランティア活動に参加するという人も出てくると思いますが、ボランティア中に相手にけがをさせてしまった場合の扱いはどうなるか知ってますか?

一般企業の会社員の場合

ボランティアではなくて、一般企業に勤めている場合は、使用者の責任となるとされています。

労働者が故意または過失によって会社に損害を与えた場合は、会社は労働者に対して損害賠償請求ができるとされています。

 

あらかじめ損害賠償額を定めておくことは禁止されていますが、実際に生じた損害について損害賠償請求を禁止しているわけではないとされています。

 

ボランティア活動中の責任は

ボランティア活動中でも相手がいる場合は、相手にけがをさせることもありえますし、その結果として損害賠償を請求されることがあるかもしれません。

 

ボランティア活動中の民事責任について争われたのが、事件番号平成7年(ワ)第6296号と呼ばれる事件です。

過去の裁判例は、同様の事件についての参考になります。

 

事件の概要

Xは、脳出血で左半身がマヒしており、屋外での歩行は監視が必要でした。

そこへボランティアのYの歩行介護を受けることになったのですが、Yは歩行介護の介助方法について具体的な話を聞いていませんでした。

そして、Xのリハビリから帰る際、Yがタクシーを呼ぼうと目を離したところ、Xが転倒し右大腿部を骨折しました。

 

Yが目を離した時に、右大腿部を骨折したXは、ボランティアのYとボランティアを派遣した社会福祉協議会に対して損害賠償請求を起こしました。

 

ボランティアを派遣した派遣元の責任について

福祉協議会の責任については、ボランティア活動は義務として行ってるわけではない、そのため福祉協議会とYとの間には法律関係が発生しないという結果でした。

また、派遣した側についてもボランティアの活動を債務の内容とするような契約が成立するとはできないとしました。

 

ボランティアセンターは、依頼に応じて登録ボランティアを紹介しているに過ぎないと解すべきとして、裁判所は派遣元の債務不履行責任を否定しました。

 

ボランティアの責任について

ボランティアの責任については、善良な管理者としての義務(善管注意義務といいます)は認めましたが、素人であるボランティアに対して専門的な対応を求めるまで認めるものではなく、身内の人間が行う程度の誠実さで対応していれば義務を果たすとしました。

 

また、タクシーを呼びに行くときにXを残した場所も危険な場所とは認めることはできず、長時間待たせたわけではないとの判決結果でした。

事故の原因についても、介護なしで歩き始めたXの過失によるものであるとして、Yの善管注意義務違反の責任も否定しました。

 

 

 

参考文献

別冊ジュリスト No191 2008/5 社会保障判例百選  西村健一郎・岩村正彦編

 

 

終わりに

無償の場合は、有償のサービスより責任が軽減されるのが一般的だと思います。

とはいえ、無償であっても責任がなくなるわけではなく、裁判でも善管注意義務があるとの結果でした。

 

今後、日本ではますます高齢化が進むため、同様の事件が起こるかもしれません。

 

ボランティア活動して損害賠償請求されたら、ボランティア活動やめてしまうのが普通です。

有償でヘルパーさんを頼んでも、人手不足の影響からか、なかなかヘルパーさんに来てもらえずに、外出できない車いすの人も増えているようです。

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