日本は国民皆年金なので、最低でも国民年金に加入することになっています。
社会保障制度は、個人単位では対処が難しいリスクに対して、個人から国民全体に広げることで対応します。
また、私的年金が個人の保険料が元になっているのに対して、公的年金は保険料に加えて国庫負担によっても支えられています。
公的年金制度の概要
公的年金は、個人単位での老後のリスクを国全体で負います(社会保障)。
30年、50年といった長期だと、賃金の変動や物価の変動がありますが、公的年金では賃金や物価変動に応じて年金を見直しています(年金水準の維持)。
公的年金は、要件を満たしたら強制的に加入することが原則なので、加入の有無を個人が決められるわけではありません(強制加入)。
公的年金の支給事由の主なものは、老後、障害、死亡ですが、支給要件を満たせば終身で受け取れるのが一般的です(終身年金)。
私的年金の多くが有期年金や確定年金なのに比べて、公的年金の多くが終身年金が多いのは、財源を国庫が負担していることも原因として挙げられます(公的負担)。
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日本の年金制度の財政方式
公的年金の財政方式には、積立方式と賦課方式があります。
積立方式とは、将来の年金を保険料で積み立てていく方式です。
賦課方式は、年金の財源はその時代の被保険者の保険料で賄うという方式です。
日本の財政方式は、賦課方式(修正賦課方式)が採用されていて、現在の被保険者が支払う保険料は、現在の受給者の年金財源となっています。
マクロ経済スライド方式
年金の受給時は手取り賃金の伸びを反映した年金額が、受給後は物価の伸びを反映した年金額が受け取れるはずですが、現在はマクロ経済スライドが行われています。
マクロ経済スライドでは、被保険者数の減少率や平均余命の伸びを年金額の改定率に反映させ、手取り賃金や物価変動よりも抑制させます。
夫と専業主婦の標準的な年金額が、現役世代の平均的な手取り賃金の50%を上回る(所得代替率50%)ようにし、所得代替率が50%を下回ることが見込まれた場合は、給付と費用負担のあり方について検討を行い、必要の措置を講じることとされています。
被用者年金の一元化
社会保障・税一体改革大綱により、公的年金制度の一元化が図られています。
公的年金の一元化によって、年金財政の範囲を拡大させ、安定化を図っています。
また、格差が生じていた被用者年金制度を、厚生年金保険制度に統一させることで、公平性が確保できるようになりました。
国民年金制度
・国民年金の保険料(保険料納付、免除制度、追納、基礎年金拠出金等)
・国民年金の基礎年金(老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金)
厚生年金制度
私的年金
・確定給付年金と確定拠出年金