労働者として派遣で働く場合は、企業と直接労働契約を結んで働くのとは違います。
例えば、平成27年の労働者改正法では、同じ事業所で働くには3年の上限が設けられるようになりました。
派遣契約で働く人、または働いている人は、内容を知っておくと自分を守ることにつながるかもしれません。
同じ事業所で3年を超えて働くことは原則できない
派遣労働者のキャリアアップと雇用の安定を図る目的から、平成27年に労働者派遣法が改正され、同じ事業所で3年を超えて働くことが原則できなくなりました。
以前から一定の業種に限って派遣労働者の3年の上限が適用されていましたが、今回の改正で全ての業務が対象となりました。
3年を超えて働くことができる例外には、異なる部署への異動や、労働者が60歳以上である必要があります。
この法律の対象となるのは、「平成27年9月30日以降に労働者派遣契約を締結又は更新した派遣労働者」となります。
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事業所単位と個人単位の期間制限
派遣の3年ルールには、「事業所単位」と「個人単位」でそれぞれ期間制限があります。
ただし、派遣元に無期雇用されている派遣労働者や、60歳以上の派遣労働者は期間制限の例外になる扱いです。
・派遣先の事業所単位の期間制限
派遣先の同一事業所は、派遣労働者を受け入れてから3年を超えることはできません。
派遣労働者を受け入れてから1年が経過している場合は、別の派遣労働者は2年が限度となります。
ただ、派遣先が、派遣先の事業所の過半数労働組合等から意見を聞いた場合に、3年を限度に派遣可能期間の延長が可能となっています。
・派遣労働者の個人単位の期間制限
派遣労働者は、派遣先の事業所単位の期間制限が延長された場合も、派遣先の事業所で働くことができるのは3年までとなります。
ただし、派遣先の事業所は、課が単位として想定されているので、同じ派遣先でも別の課に異動されれば、3年を超えて働くことは可能となっています。
3年を超えて派遣される場合
同じ派遣先に、継続して3年派遣される場合は、派遣元は雇用安定措置を講じる必要があります。
1年以上3年未満の派遣見込みの労働者は、努力義務となります。
雇用安定措置は、派遣終了後の継続して就業する措置をいいます。
雇用安定措置について
雇用安定措置の対象者は、「同一の組織単位(課など)に3年間派遣される見込みがある労働者」です。
派遣見込みが1年以上3年未満の派遣労働者に対しては努力義務となりますが、3年の派遣労働者は義務となります。
派遣元は、以下のいずれかの措置を講じる義務があります。
①を講じて直接雇用に結びつかなかった場合は、別途②~④のいずれかの措置を講じる必要があります。
①派遣先への直接雇用の依頼(派遣先が同意すれば、派遣先の社員へ)
②新たな派遣先の紹介(働く人の能力や経験に照らして合理的なものに限る)
③派遣元での無期雇用(派遣労働者以外として)
④その他雇用の安定を図るための措置(雇用を維持したままの教育訓練、紹介予定派遣等)
雇用安定措置の対象になるには、派遣元に対して派遣終了後も継続して就業することを希望している必要があります。
派遣元は、キャリアコンサルや面談を通じて継続して就業したいかの希望を把握することとされています。
努力義務の対象となる場合は、上記①~④のうちのいずれかの措置を講じるよう努める必要があります。
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まとめ
・派遣労働者は、同じ事業所で3年を超えて働くことは基本的にできません。
・3年の期間制限には、事業所単位と個人単位とがあります。
・派遣先の事業所の組織単位は、課を想定しているため、異なる課に移動するなどの手続きが必要です。
・同じ事業所の同じ課に継続して3年派遣される見込みとなった派遣労働者は、雇用安定措置を受けることが可能です。
・1年以上3年未満の派遣見込みの派遣労働者は、努力義務の対象になります。