自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部を改正する件」(令和4年12月23日厚生労働省告示367)により改正され、令和6年4月1日から適用されます。
働き方改革関連法による改正で平成31年4月から上限が設けられてましたが、自動車運転者については5年間の猶予期間がありました。
厚生労働省は、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を改正し、タクシー・ハイヤー、トラック、バスの運転手別のリーフレットを公表しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
長時間労働が見られるトラックなどの自動車運転者について、その業務の特性を踏まえ、労働基準法では規制が難しい拘束時間、休息時間、運転時間等の基準を告示して制定していました。
拘束時間:始業から終業までの時間をいい、休憩時間や仮眠時間を含めた実際の時間。
労働時間:運転、整備、荷扱い等の作業時間、手待ち時間をいう。
休息時間:勤務と勤務の間の自由時間をいい、使用者の拘束を受けない時間。休憩時間と仮眠時間とは異なる。
自動車運転業務について、過労死等防止の観点から「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の拘束時間等の改善について検討されてきた。改善基準告示の見直しに当たっては、トラック運転者について、早朝・深夜の勤務、交代制勤務、宿泊を伴う勤務など多様な勤務実態や危険物の配送などその業務の特性を十分に踏まえて、労働政策審議会において検討し、勤務実態等に応じた基準を定めるとされた。
改正内容について、タクシー・ハイヤー、トラック、バスの運転手別にまとめました。
タクシー運転者の改正内容
1.日勤(始業・終業の日が同一の日に属する業務)
・1か月の拘束時間288時間以内
・1日の拘束時間13時間以内(上限15時間、14時間超は週3回までが目安)
・1日の休息時間は、継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らないこと
2.隔勤(始業・終業の日が同一の日に属さない業務)
・1か月の拘束時間262時間以内
・2暦日の拘束時間で22時間以内、かつ、2回の隔日勤務を平均して1回あたり21時間以内
・2暦日の休息時間で継続24時間以上を基本とし、22時間を下回らないこと
3.ハイヤー運転手の改正内容
労使当事者は、36協定の締結にあたり、以下の事項を遵守する。
・時間外労働は、1か月45時間、1年360時間まで
・臨時的特別な事情で限度時間を超えて労働させる場合でも、1年960時間まで
トラック運転手の改正内容
1.拘束時間について
・原則1年3300時間以内(労使協定により最大で3400時間まで)
・原則1か月284時間以内(労使協定により最大で310時間まで)
・原則1日13時間以内(上限15時間、14時間超は週2回以内が目安)、例外として宿泊を伴う一定の長距離貨物運送の場合は最大16時間まで延長可(週2回まで)
2.休息時間について
・1日継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らないこと
・ただし、宿泊を伴う一定の長距離貨物運送の場合、継続8時間以上(週2回まで)
3.運転時間
・2日平均1日(9時間以内)
・2週平均1週(44時間以内)
4.連続運転時間
・原則4時間以内
・運転の中断時には、原則として休憩を与える(1回おおむね10分以上、合計30分以上)。10分未満の場合は3階以上連続しないこと。
・例外として、SA・PA等に駐車できないことにより、やむを得ず4時間を超えるときは、4時間30分まで延長可。
バス運転者の改正内容
1.拘束時間
・1年3300時間以内
・1か月281時間以内
・例外として、貸切バス等乗務者の場合労使協定により、1年3400時間以内、1か月294時間以内(年6か月まで)
2.1日の休息時間
・継続11時間を基本とし、継続9時間を下回らないこと
3.運転時間
・2日平均1日(9時間以内)
・4週平均1週(40時間以内)
・貸切バス等乗務者で労使協定あり(4週平均1週44時間まで延長可。52週のうち24週まで)
4.連続運転時間
・4時間以内
・運転の中断は1回連続10分以上、合計30分以上
・高速バス、貸切バスの高速道路の実車運行区間における連続運転時間はおおむね2時間まで
参考
厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」