国民健康保険の被保険者が、怪我や病気をして病院で治療を受けたとき、出産や死亡があったときは、国民健康保険制度から保険による治療や現金の支給を受けられます。
国民健康保険の被保険者は、病院や診療所で保険証を提出することで、2割~3割の一部負担金で治療を受けることができます。
失業や災害で医療費を支払うのが困難になった場合は、申請すれば一部負担金の減額や免除を受けることもできます。
国民健康保険の医療給付
国民健康保険の保険給付には、法律によって定められている法定給付と、定められていない任意給付とがあります。
また、法定給付には、必ず実施される絶対的必要給付と、特別な理由があれば実施しない相対的必要給付があります。
国民健康保険では、療養の給付、入院時療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、高額療養費等があり、これらについては国民健康保険でも健康保険法と同様の給付です。
また、出産育児一時金や葬祭費などは、絶対的必要給付ではありませんが行われています。
被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員が、保険料を1年超えて滞納した場合は被保険者証を返還しなければなりません。
被保険者証を返還した場合は、代わりに被保険者資格証明書が交付されますます。
被保険者資格証明書が交付された人は、療養の給付等の現物給付が受けられませんが、本来受けられるはずだった額が特別療養費として償還払いされます。
療養の給付
国民健康保険でも健康保険と同様、療養の給付があります。
被保険者が、病気やけがの治療のために病院で診療を受けたた場合でも、保険証を提出することで一部負担金を支払うだけで済みます。
これが療養の給付です。
横浜市であれば、小学校就学前の児童は2割負担、70歳以上の人は2割または3割で、それ以外の人は3割を負担することで治療を受けれます。
薬を処方されている人であれば、ジェネリック医薬品に切り替えることで、月の薬代を安くすることもできます。
ジェネリック医薬品とは、新薬の特許が切れた後に販売される医薬品です。
効き目や安全性は、新薬とほぼ同等とされるので安価で経済的です。
70歳以上の療養の給付
70歳以上の国民健康保険加入者が病院で治療を受ける場合は、保険証と一緒に高齢受給者証を提示します。
70歳の誕生日の翌月からは、世帯の所得状況によっては病院窓口の負担割合が2割になることがあります。
負担割合が2割になるか3割になるかは、毎年8月に課税標準所得によって判定されます。
現役並み所得者・・・3割負担
国保に加入している高齢者(70歳以上75歳未満)で、住民税の課税標準所得が145万円以上ある人がいる世帯。
ただし、高齢者全員の収入合計が以下の場合は、申請することで2割になります。
・高齢者が1人 383万円未満
・高齢者が2人以上 520万円未満
一般、低所得者・・・2割負担
次のいずれかに該当している人は2割負担です。
1.現役並み所得者ではないこと
2.昭和20年1月2日以降生れの高齢者がいる世帯の、高齢者全員の基準総所得金額合計が210万円以下の世帯に属する
入院時食事療養費
入院しているときの食費については、材料費相当を食事療養標準負担額として被保険者が負担し、残りの費用については入院時食事療養費として現物給付されます。
食事療養標準負担額は、1食単位の1日3回分を負担し、高額療養費の対象にはなりません。
入院時食事療療養標準負担額は、所得や入院日数によっても違います。
70歳未満の入院時食事療養標準負担額
一般の人・・・1食あたり460円
住民税非課税世帯・・・過去12カ月の入院日数が90日までは1食あたり210円、90日を超える場合は1食160円
70歳以上の入院時食事療養標準負担額
現役並み所得者、一般所得者・・・1食あたり460円
低所得者Ⅱ・・・過去12カ月の入院日数が90日までは1食210円、90日を超える場合は1食160円
低所得者Ⅰ・・・1食あたり100円
入院時生活療養費
入院時生活療養費の対象は、入院する65歳以上の被保険者です。
療養病床に入院する65歳以上の被保険者は、介護保険との負担均衡を図るため、所得に応じて食費と居住費を生活療養標準負担額として負担することになっています。
ここでいう食費は材料費と調理費用分をいい、居住費は電気及び給水の光熱水費相当分のことをいいます。
この生活療養標準負担額を除いた額が、入院時生活療養費になります。
65歳以上70歳未満の被保険者に対する生活療養標準負担額
住民税課税世帯・・・1食460円、居住費1日370円
住民税非課税世帯・・・1食210円、居住費1日370円
70歳以上の被保険者に対する生活療養標準負担額
現役並み所得者、一般所得・・・1食460円、居住費1日370円
低所得Ⅱ・・・1食210円、居住費1日370円
低所得Ⅰ・・・1食130円、居住費1日370円
入院時生活療養費の生活療養標準負担額も高額療養費になりません。
療養費
被保険者が病院で治療を受けた場合は一部負担の現物給付ですが、やむを得ない事由があって現物給付が受けれないときは、後で申請すれば現金で受け取ることができます。
この保険給付を療養費といいます。
・緊急により保険証を持参していないとき
・医師の同意を得て治療用装具を作ったとき
・海外で急な病気やけがにより医療機関で治療を受けたとき
・骨折、脱臼、打撲、捻挫などで柔道整復師の施術を受けたとき
等が対象になります。
療養費は審査があるため、申請してから2か月~3カ月程度みておく必要があります。
訪問看護療養費
訪問看護療養費とは、難病患者や障害がある被保険者が厚生労働大臣の指定する訪問看護事業を行う事業所(訪問看護ステーション)を利用した場合に、利用料を支払えば、残りの費用については国保が負担してくれるというものです。
交通費、おむつ代などは実費負担となります。
訪問看護ステーションには、実費負担分と利用料を支払うということです。
利用料の本人負担は2割または3割で、訪問看護療養費は7割または8割です。
移送費
移動が出来ない被保険者が、当該医療機関の設備では十分な治療が行えない場合などに、療養の給付を受けるために別の医療機関に移送されると移送費が支給されます。
移送費の額は、最も経済的な通常の経路及び方法によって計算されます。
移送費を申請する際は、保険証、医師の意見書、印鑑、移送区間や距離が分かる費用の領収書、振込先の確認できるものが必要です。