人生設計に大事な社会保険について

社会保険についての話

過労死は、労働者災害補償保険(労災)の対象

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大手広告会社の電通では、過去にも何度か社員の過労死が起きているようです。

2015年に過労を苦に自殺した電通の女性社員の件は特にニュースでも大きく取り上げられました。

このことがきっかけとなって、政府は残業時間の上限を設けましたが、この程度の対策ではまだまだ批判はなくなりそうにありません。

 

また、残業時間が減ったからといって過労死がなくなるわけではありません。

ストレスが多い業種はもちろん、職場の人間関係に悩む人は多く、仕事が原因のストレスで精神的に参ってしまい、自殺しようとする人は今もたくさんいます。

 

いけめん
過労死は、労災の対象になるかについて考えてみたいと思いましたが、実際は厚生労働省の通達で出ています。

過労死の原因といわれている「脳血管疾患及び心臓疾患(以下脳・心臓疾患)」については、厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)に列挙されています。

仕事が原因で起こる病気や障害、死亡を「業務災害」という

労働者が業務中に、負傷、疾病、傷害、死亡した場合を「業務災害」といいます。

業務災害の場合は、労働者災害補償保険法(労災)によって保険給付が行われます。

労働者災害補償保険法第一条

労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 

業務災害が認定されるには、業務に起因しているかどうか(業務起因性)と、労働者が会社の支配下にあったかどうか(業務遂行性)が問われます。

例えば、出張中の事故は、出張全体が業務行為として認められていますが、業務とは関係ないイベントに参加した後の帰宅途中に事故にあった場合は認められない可能性があります。

業務遂行性が認められていても、労働者の積極的な「私的・恣意的行為(イベントに参加したこと)」により発生した事故は、業務起因性が中断してしまっているため、労災と認められないのが通常だからです。

 

 

過労死は厚生労働省令に列挙されている

厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)には、業務上疾病について列挙されています。

業務上疾病とは、業務と相当因果関係がある疾病のことをいい、労災の認定にはこの相当因果関係が必要です。

 

厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)に列挙されているものに該当した場合が業務上疾病として認定されます。

「労働基準法施行規則別表第1の2」は、第1号から第11号までありますが、第11号では「その他業務に起因することの明らかな疾病」と規定されているように、業務と相当因果関係がある疾病を包括的に扱っています。

 

過労死については、脳血管疾患及び心臓疾患(脳・心臓疾患)の認定基準によって労災の適用が判断されます。

厚生労働省令の第8号には、「長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病」とあるように、疾病名が掲げられています。

 

過労死の認定

過労死は、脳・心臓疾患の認定基準(平成22.5.7基発0507第3号)により、労災が適用されるかが判断されます。

脳血管疾患

脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症

 

心臓疾患

心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む)、解離性大動脈瘤

 

認定要件については、以下①~③の業務によって明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患を「労働基準法施行規則別表第1の2第8号」として扱うとされています。

①発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと

②発症に近接した時期において、特に過重な業務(短期間の過重な業務)に就労したこと

③発症前の長期間(発症前概ね6か月)にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務(長期間の過重業務)に就労したこと

いけめん
②の短期間は概ね1週間といわれていますよ

 

③の長時間労働の目安について

「発症前1~6か月間平均で月45時間以内の時間外労働は、業務と発症との関連性が弱い」

「月45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まると考えられる」

「発症前1か月以内に100時間又は発症前2か月~6か月間平均で80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症の関連性は強いと評価される」

 

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について

 

 

うつ病等による自殺

うつ病等の精神障害状態で、自殺した場合についての評価も厚生労働省令で公表されています。

厚生労働省令第9号には、「人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神および行動の障害又はこれに付随する疾病」というように、疾病名が掲げられています(平成23.12.26基発1226第1号)。

 

労災保険法では、自殺は原則として労災給付の対象とはなりませんが、過労や業務上のストレスにより発症するうつ病等の精神障害及び心因性の精神障害による自殺については、次のいずれの要件も満たせば業務上疾病として取り扱うとされています。

①対象疾病を発病している

②疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

③業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したと認められないこと

いけめん
業務による強い心理的負荷というのは、仕事中の強いストレスですね。

個体側要因というのは、過去に精神障害を発症していたり、アルコール依存はしてないか等です。

 

心理的負荷による精神障害んぼ認定基準について

 

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