病気になったときは、病院へ行けば一部の負担額で治療等を受けることが出来ます。
また、被扶養者であれば被保険者と同様に一部負担で治療を受けることが可能です。
これはその人が、健康保険という医療制度の被保険者又は扶養者となっているからです。
人は誰でも風邪や虫歯等の病気になる可能性がありますが、健康保険制度により一部の負担で治療を受けることができます。
若くても病気になるので、老齢になってから受け取れる老齢年金よりも、健康保険のほうが若い人にも知られています。
健康保険法の目的
健康保険の目的
「この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」
健康保険は、労働者や労働者が扶養している家族の疾病、負傷もしくは死亡や出産が対象です。
健康保険の対象となる病気やけがであれば、一部の負担で治療が受けられます。
自営業者の場合は、国民健康保険の被保険者となります。ちなみに国民健康保険には被扶養者がありません。
以前は健康保険は業務上の事由による疾病、負傷もしくは死亡は対象外でした。しかし、平成26年の改正によって労災保険の保険給付の対象とならない業務上の負傷等についても、健康保険でカバーすることとされました。
健康保険の保険者
保険者とは保険制度を経営する者をいいます。
民間の保険であれば生命保険会社や損害保険会社、公的年金であれば政府といったように保険給付を行う団体です。
健康保険の保険者には、大企業などが組合を作って設立する「健康保険組合」と健康保険組合の被保険者以外の人を対象とした「全国健康保険協会」があります。
健康保険の被保険者
健康保険法の被保険者とは、適用事業所に使用される強制被保険者と任意継続被保険者をいいます。
特例退職被保険者と日雇労働者を対象とした日雇特例被保険者もそうです。
ただ、健康保険の被保険者となるには、働く事業所が適用事業所である必要があります。
適用事業には、強制適用事業所と任意適用事業所とがあります。
強制適用事業所と任意適用事業所
強制適用事業所とは、つぎの事業所をいいます。
●常時5人以上の従業員を使用する個人経営の一定の事業所(適用業種)
●国、地方公共団体又は法人の事業で、常時従業員を使用している場合
また、以前は健康保険の適用事業所だったが、人数が減少して強制適用事業所の要件を満たさなくなった場合は擬制的に認可があったとみなして保険関係が継続されます。
適用事業所に該当しない場合も、一定の手続きを経て任意的に適用事業所になることができます。このことを任意適用事業所といいます。
強制被保険者
強制被保険者は以下の人たちをいいます。
強制被保険者になる人
1.常時5人以上の従業員を使用する個人経営の適用業種の事業所に使用される者
2.常時従業員を使用する国、地方公共団体、法人の事業所に使用される者
3.任意適用事業所に使用される者
任意継続被保険者
任意継続被保険者とは、一定の要件を満たすことにより、退職しても被保険者になれる(2年間まで)人をいいます。
任意継続被保険者は資格を喪失した場合は、20日以内に申出を行う必要があります。
また、資格喪失日の前日まで継続して2月以上の被保険者期間がないとなれません。
任意継続被保険者
・20日以内に申し出ること
・資格喪失日の前日まで継続して2月以上の被保険者期間があること
特例退職被保険者
特例退職被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けた健康保険組合の退職者で、任意継続被保険者以外の場合です。
特例退職被保険者の要件を満たすことでなることが出来ますが、対象となる人は限られています。
日雇特例被保険者
日雇特例被保険者は、適用事業所に使用されている日雇労働者のことをいいます。
日雇労働者の要件はつぎの通りです。
- 臨時に使用される者で、日々雇い入れられるもの及び2月以内の期間を定めて使用される者
- 季節的業務に使用される者
- 臨時的事業の事業所に使用される者
また、日雇特例被保険者の保険者は全国健康保険協会です。
おわりに
日本は国民皆保険なので、原則的にはいずれかの医療保険制度に加入します。
今回は健康保険なので会社員が対象ですが、健康保険の対象でない自営業者や無職の人には国民健康保険制度があります。