3人に1人が非正規雇用といわれる現在では、派遣という働き方が当たり前になりました。
派遣で働いている人でも、自分がどの立場で働いているのか気付いていない人もたくさんいたりします。
派遣元と派遣先とではどちらと労働契約を結んでいるのか
派遣というと、派遣会社から紹介された仕事先で働くのをイメージする人が多いのではないでしょうか。
派遣の労働契約では、派遣会社(派遣元)と労働契約を結び、派遣元が指定した派遣先の会社で働きます。
派遣先で働くことになりますが、あくまでも労働契約を結んでいるのは派遣元なので、派遣労働者に関する規則は派遣元のものが適用されます。
労働者は、派遣元と労働契約を結び、派遣元は派遣先と派遣契約を結びます。
そして、派遣元から紹介された派遣先で、労務の提供をします。
派遣先は派遣元に対してサービス料金を支払い、労働者は派遣元から賃金を受けます。
普通の労働契約では、会社と労働者が労働契約を結びますが、派遣されることは原則ありません。
なので、派遣労働者の指揮命令権は派遣先にありますが、普通の労働契約では会社に指揮命令権があります。
労働条件の明示は派遣元が行う
労働契約を締結したときは、会社は労働者に対して書面等の交付を行うなど労働条件の明示が必要です。
派遣契約の場合も、労働者に対して労働条件の明示が必要ですが、労働条件の明示する義務は派遣元にあります。
派遣契約では、派遣開始までに派遣料金額や就業条件を書面の交付等による明示も必要です。
また、派遣では建設業務、港湾運送業務、警備業務、病院等の医療関係業務などは派遣が禁止されています。
労働基準法や社会保険が適用されるのは派遣元
労働者と労働契約を結ぶのはあくまでも派遣元なので、労働基準法や雇用保険、健康保険や厚生年金といった労働社会保険は派遣元で適用・加入します。
労働契約を結んだ派遣元が労働社会保険の責任を負うのですが、休憩・休日や育児時間、休日労働・時間外労働といった派遣元が責任を負うことになじまないものは、派遣先が負うことになっています。
就業規則とは、職場のルールを決めたものをいいますが、就業規則についても派遣元のものが適用されます。
もし仮に派遣先が労働者に残業させるのであれば、派遣元の就業規則に残業についての規定が必要です。
また、派遣労働者であっても就業から半年を経過したうえ、一定の要件を満たせば年次有給休暇も付与されます。
年次有給休暇の届けは、派遣元に対して行います。
年次有給休暇では、労働者が休暇の時期を指定して請求しますが、事業の正常な運営を妨げる恐れがある場合は企業の時季変更権が認められています。
そして、時季変更権が認められるかどうかは、派遣先ではなく派遣元の状況によります。
派遣先の事業の正常な運営を妨げる恐れがあっても、時季変更権の判断は派遣元の状況次第となります。
紹介予定派遣
派遣元が労働者と派遣先に対して、紹介することを予定して派遣して働かせることを紹介予定派遣といいます。
派遣労働者として働きながら、派遣期間が終了した後は労働者と派遣先企業とが合意により社員となります。
派遣期間終了後、派遣先企業が派遣労働者の雇用を拒否する場合は、求めに応じて理由の明示が必要です。
まとめ
派遣労働契約と普通の労働契約の違いは、派遣先に指揮命令が認められているかということです。
労災保険は、労働が原因でけがや病気となったときが対象ですが、適用は派遣元となります。そのほか労働基準法や社会保険の適用も原則は派遣元が適用先です。
派遣労働者であっても年次有給休暇を取得できます。