「障害者雇用促進法」という法律をご存知ですか?
障害者雇用促進法という法律は、身体障害者や知的障害者であっても、その能力に合った職業にできるよう、職業生活において自立できるように総合的に措置を講じ、障害者の職業の安定を図るためにできました。
事業主には、障害者の雇用に対して進んで雇い入れるように努めよとの規定があります。
また、事業主は、障害者の雇用に対して一定割合以上の雇用義務があります。
障害者の雇用義務
一定規模以上の事業主は、一定割合以上の障害者を雇用しなければなりません。
雇用する労働者の数に、障害者雇用率を乗じて得た数値以上であるようにしなければなりません。
障害者雇用率は、一般の民間事業主なのか特殊法人なのか国及び地方公共団体かなどによって雇用率が違います。
一般の民間事業主の場合は、今回の法改正で2.0%から2.3%に変更になりました。
労働者の数が140人の場合に、障害者雇用率が2.0%だったとしたら、140人×2.0%=2.8となります。
1人未満は切り捨てなので、2人の障害者を雇用しなければならないことになります。
今回の法改正で障害者雇用率は2.3%に引き上げられましたから、140人の労働者を雇用している一般の事業主の場合は、140人×2.3%=3.22となります。
この場合も1人未満は切り捨てなので、3人の障害者を雇用しなければならないことになります。
つまり、今回の改正でギリギリの企業は新たに障害者を雇用しなければならないかもしれません。
以下、詳細となります。
平成30年4月1日から障害者法定雇用率が引きあげられます
すべての事業主には、障害者雇用制度の下、法定雇用率以上の割合の障害者を雇用する義務が定められています。
法定雇用率とは
現在(平成30年3月)の法定雇用率は、民間企業であれば2.0%です。
これは従業員のうちの2.0%の障害者を雇用しなければいけないということで、100人の従業員だったら2人の障害者を雇用しないといけないということです。
現在は50人以上の従業員がいる事業主が対象(1人)になります。
ただし、一定の製造業、一定の鉱業、建設業、電気業などは、除外率設定業種に該当します。
除外率設定業種の場合は、常用雇用労働者数に除外率を乗じて得た数を控除した数にできます。
除外率は、100分の5から100分の80の間で、業種ごとに決められています。
現在(平成29年8月)の法定雇用率
事業主区分 | 法定雇用率 |
民間企業 | 2.0% |
国、地方公共団体等 | 2.3% |
都道府県等の教育委員会 | 2.2% |
平成30年4月1日からの法定雇用率
平成30年4月1日からは、法定雇用率が以下の通り引き上げとなります。
事業主区分 | 法定雇用率 |
民間企業 | 2.2% |
国、地方公共団体等 | 2.5% |
都道府県等の教育委員会 | 2.4% |
改正によって、この法律の対象となる事業主は、45.5人以上50人未満の労働者を雇用している場合になります。
具体的な時期はこれからですが、平成33年4月までにさらに0.1%引き上げることになっています。
民間企業なら将来2.3%となり、対象となる企業は43.5人以上の従業員がいる企業となります。
労働者の数の算定
障害者によって障害の程度が違います。
障害者雇用促進法では、労働者の総数算定にあたって、短時間労働者を0.5人とするなど、障害のある労働者の数の算定には少し注意が必要です。
重度身体障害者・重度知的障害者の労働者は、1人で2人の身体障害者又は知的障害者として算定します。
重度身体障害者・重度知的障害者の労働者のうち、短時間労働者は、1人の身体障害者又は知的障害者として算定します。
精神障害者の労働者は、1人の身体障害者又は知的障害者として算定します。
身体障害者・知的障害者・精神障害者の労働者のうち、短時間労働者はその1人で0.5人の身体障害者又は知的障害者として算定します。
法定雇用者数が2人以上の事業主の場合は、重度の身体障害者又は重度の知的障害者を雇用すれば義務を果たしたことになります。
これが重度の身体障害者が短時間労働者だった場合は、2人雇用しなければなりません。
身体障害者と精神障害者を組み合わせてても問題ありません。
算定にあたり子会社について、所定の基準に適合する旨の厚生労働大臣の認定を受けた親会社の障害の実雇用率算定においては、子会社が雇用する労働者は親会社のみが雇用する労働者と、子会社の事業所は当親会社の事業所とみなされるといた特例があります。
障害者雇用調整金と障害者雇用納付金
障害者の雇用率を満たした場合は、事業主に対して障害者雇用調整金の支給を行い、雇用率を達成していない事業主から障害者雇用納付金を徴収しています。