労働基準法違反をしていたり、就業環境が酷く企業やお店がアルバイトを使い捨てのようにしているバイトを「ブラックバイト」と呼ぶことがあります。
深夜営業を行っている店舗では、1人の従業員が全ての業務に対応しなければいけないことがあります。
飲食チェーン店やコンビニでは、人手不足でワンオペレーションは当たり前のようです。
試験勉強のためにアルバイトを休もうと思っても、「代わりの人を探さないと認められません」などといわれてアルバイトを休むことができないケースも増えています。
アルバイトを休むことができないため、体調が悪いのに病院にも行けなかった、という話も聞きます。
このようにブラックバイトのおかげで学業に支障が出たり、身体を壊してしまう例はたくさんあります。
学生やフリーターは、働く権利や法律についての知識がないことが多く、ブラックであることも気付かずに働かされていることもあります。
企業や店舗の中には、学業を優先する学生は採用しない方針のところもあるため、学生も仕方なくブラックバイトを受け入れているケースもあります。
学生バイトだから学業を優先したいけど、これって会社に迷惑?
学生にとって優先しなければいけないのは、本来は学業のはずです。
真面目でやさしい学生ほど、自分の都合でアルバイトを休むのは気が引けると思うようです。
しかし、企業や店舗にとっては、アルバイトは一時的な労働力として都合よく利用しているだけといえます。
本来であれば、正社員を雇わなければいけないところ、都合の良い時間に安い賃金で労働力を手に入れられるわけですから、企業や店舗にとってはメリットばかりです。
アルバイトは、安い賃金で都合よく利用されているわけですから、学業を優先したければしていいはずです。
アルバイトとして雇ってもらってる義理もあるから、できるだけ企業や店舗に協力したいというのであれば、それは立派なことなのでよいと思います。
ただし、それも卒業できる、負担のないレベルのアルバイトである必要があります。
学校に通うのはタダではなく、大学であれば何千万円、高校であっても卒業するまでに何十、何百万円ものお金がかかっていることを改めて考え直してみるといいでしょう。
正規社員と非正規社員の違い
ブラックバイトは、学生だけの問題ではありません。
今は、学校を卒業してからもアルバイトで生計を立てる人は多いからです。
正規社員と非正規社員の大きな違いは、辞めさせられるか辞めさせられないかの点に大きな違いがあります。
正規社員は、労働契約の期間が特別決まっていないのに対して、非正規社員は、労働契約の期間が数か月、1年と決まっています。
正規社員は、労働契約の期間が決まっていないので企業も簡単に解雇させることは出来ませんが、非正規社員は契約の更新をしなければ契約は終了します。
正規社員であっても、やむを得ない理由があれば解雇できますが、これは企業にとってもよっぽどのことと思っておいて間違いありません。
これに対してアルバイトやパートは、安い賃金で働かされており、アルバイトやパートは一時的な労働力とみられています。
労働者にとっても、どこかで正社員や派遣、契約社員に切り替えないと、アルバイトやパートで働き続けるのは難しいでしょう。
キャリア形成だけでなく、ライフプランを考えるうえでも、アルバイトやパートよりも、正規社員や契約社員の方が有利です。
特に将来になってから、正規社員とアルバイト・パートの差を身にしみて知ることになります。
確かに社会保険料や税金は少なくて済むかもしれませんが、それだけ将来の保障も少なくなるからです。
老後の資金が2,000万円では不足するといわれているのに、国民年金だけの人は年金も1/3程度になるでしょうから、キャリアだけでなく、ライフプランにも悪影響する可能性が高いのです。
アルバイトであっても要件を満たせば有給がある
学生さんが学業のためにどうしても休みたい場合は、有給休暇(年次有給休暇といいます)の利用を考えてみるのもいいと思います。
意外と知られていませんが、アルバイトであっても要件を満たせば有給休暇が与えられます。
有給休暇を取得するには?
有給休暇を取得するには、以下の要件を何れも満たす必要があります。
1.雇い入れの日から6か月以上継続して雇われていること
2.所定労働日の8割以上出勤していること
上記要件を満たした正社員の人は、一般的には6か月経過したときに10日間の有給休暇が与えられます。
ただし、アルバイトやパートの場合は、一般的に正社員よりも労働時間が短く、労働日も少なかったりしますので、別に有給休暇の条件が設定されています。
アルバイトやパートといった労働者の年次有給休暇は、与えられた労働日の数に応じて「比例付与」というものの対象になります。
比例付与の対象となるアルバイト・パートは、週の労働時間が30時間未満で、週所定労働日数が4日以下、または1年間の所定労働日数が216日以下の人です。
週の労働時間が30時間以上の労働者は、比例付与の対象にはならず、原則の有給休暇が付与されます。
週所定労働日数 | 1年の所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
4日 | 169~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
例
週の労働が3日の人が、8割以上出勤し、6か月が経過したら有給休暇は5日与えられます。
では、週の労働日が4日で、1日の労働時間が8時間の人が、8割以上出勤して6か月経過したらどうなるでしょう?
ブー、はずれ、答えは10日です。
週の労働時間が32時間なので、原則の10日の有給休暇が付与されます。
これが週の労働時間が30時間未満であれば、7日になります。
まとめ
学生である以上、アルバイトよりも学業を優先した方がいいでしょう。
大学の学費であれば、何百万円もかかっているはずだからです。
何百万円をバイトで稼ぐには何年かかるかを考えれば、アルバイトに振り回されるのはもったいないことが分かるはずです。
建前では、使用者と労働者の立場は対等ですが、実際はどうしても労働者の方が立場は弱くなります。
労働基準法は、立場の弱い労働者を保護するためにある、労働条件の最低基準を定めた法律です。
学生や若い人は、一人で悩んでしまうかもしれませんが、労働三権は法律で認められています。
労働組合以外にも、労働相談の窓口はいくつか設けられています。
争うのがどうしても嫌なのであれば、断固として辞める勇気も時には必要です。
アルバイトは探せばいくらでもありますし、ブラックバイトやブラック企業に振り回されても損するのは自分自身だけだからです。