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労働基準法

労働基準法を下回る労働契約は認められない

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今日は労働条件の話をしようと思います。

最近、テレビや新聞でもよく取り上げられていて、社会的に関心が高い分野です。

「労働基準法」は、労働者を保護するための法律として昭和22年に制定されました。

労働基準法には、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならなに。」ということが記載されています。

 

労働条件には最低限の基準がある

労働条件は、労働者を雇用するにあたって使用者がどのような条件に働いてもらうかということです。

労働条件の決定は、労働者と使用者は対等の立場で決定するとされていますが、そうはいっても給与を支払う使用者の方が立場が強くなってしまうのは仕方がないことです。

そこで、労働基準法では、労働条件の設定において「最低限度の基準」を設けています。

 

労働基準法の第1条には、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」と書かれてます。

そのために労働基準法では、労働条件の基準を最低限のものとし、この基準を下回らないようにしなければなりません。

また、現に労働条件が労働基準を上回っていても、この最低限の基準を理由に労働条件を低下させるのは不利益変更に当たるので認められないとされています。

労働者と使用者が合意していた場合は

労働基準法で定められた基準は最低のものです。

もし仮に、労働者と使用者が合意の上で、労働基準法の基準を下回る労働条件で労働者を働かせていたらどうなるのでしょうか。

この場合は、例え労働者と使用者が合意の上であっても、法律違反に該当するとなっています。

それだけ労働基準法が強行的な法律ということです。

 

これは、労働協約(労働組合との間の労働条件)、就業規則(労働者が働くうえで守る会社のルール)、労働契約(労働者ごとに結ぶ契約)についても同様です。

 

外国人を差別をしてはならない

最近多いのが留学生という名の外国人労働者です。

私は高校の学費を建設現場で働きながら稼いだのですが、外国人がまだそんなに多くない当時から建設現場にアジア系外国人はいました。

特に鉄筋工は体力的にきついので多かったように思います。

休憩時間に鉄筋工の親方や社長が話していたのが、外国人は安い賃金で働かせられるというものでした。

労働基準法では、労働者の国籍を理由に賃金、労働時間、その他の労働条件について差別を禁止しています。

なので、親方と社長は法律違反です。

また、外国人は雇用保険と労災保険に加入させてないようでしたが、雇用保険は国籍は関係ありませんし、労災保険は事業所単位で適用されるので外国人でもアルバイトでも適用されます。

労働条件は明示が必要

使用者は、人を雇用した時は、賃金、労働時間、その他の労働条件に付いて明示します。

労働条件といっても必ず明示しなければいけないものと、会社で決められていることについて明示しなければいけないものがありますが、ここでは必ず明示が必要なものを挙げます。

1.労働契約の期間に関すること

2.期間の定めのある労働契約の場合は、更新する場合の基準を示すこと

3.働く場所働く業務に関すること

4.始業時刻終業時刻、所定労働時間を超える労働があるかの有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を分けて働かせる場合の就業時転換に関すること

5.賃金の決定、計算と支払方法、賃金締め切り日と支払いの時期、昇給に関すること

6.退職(解雇事由含む)に関すること

 

以上、5の昇給に関することを除いて書面の交付が必要です。

昇給については口頭も認められますが、他の項目について書面の交付が必要なので書面の交付が望ましいです。

アルバイト・パートも書面を交付

ときどき、アルバイトとパートには書面を交付していないケースを見受けますが、アルバイトとパートであっても口頭では認められず、書面の交付が必要です。

派遣労働者の労働条件

派遣労働者の労働条件については、派遣元の使用者が明示します。

派遣労働者が実際に働く場所が派遣先でも雇用関係にあるのは派遣元だからです。

派遣労働者と派遣元の使用者が労働契約を締結し、派遣先の使用者の指揮の下で労働するのが派遣労働者です。

派遣労働者の場合の使用者は派遣元なので、雇用保険や社会保険も派遣元のものになります。

 

労働基準法を下回る労働条件についてのまとめ

労働基準法は最低の基準を定めたものなので、これを下回ると違反になります。

例え労働者と使用者が合意であっても労働基準法の最低基準を下回ると違反です。

労働基準法、雇用保険、労災保険は、国籍は原則関係なく適用されます。

労働条件には、絶対必要な絶対的明示事項と定める場合に明示する事項とがあります。

労働条件は労働者に書面を交付しなければなりません。

アルバイト・パートであっても労働条件については書面を交付しなければなりません。

派遣労働者に対して労働条件を明示するのは派遣元が行うことになっています。

 

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