一般被保険者に対する求職者給付のメインは基本手当ですが、その他にも所定給付日数を超えて基本手当が受けられる延長給付や、病気やけがで仕事に就けない場合に基本手当に変わって支給される傷病手当などがあります。
延長給付
全国的に経済状況が悪い場合や、受給資格者の状況などによっては、所定給付日数の基本手当だけでは失業者の保護が十分にできないことがあります。
そのような場合に、雇用保険では所定給付日数を超えて基本手当を受けられる延長給付の制度があります。
延長給付には、個別延長給付、訓練延長給付、広域延長給付、全国延長給付、地域延長給付があります。
個別延長給付
個別延長給付は、難病患者、発達障害者、天災等によって離職した人などが対象です。
公共職業安定所長が、省令で定める基準に照らし、当該受給資格者の知識、技能、職業経験などを考慮して重点的に再就職の支援が必要であると認めた場合に対象になります。
個別延長給付は、所定給付日数を超えて基本手当を60日間(最大120日)延長して支給することができます。
訓練延長給付
受給資格者が、公共職業安定所長の指示により、公共職業訓練を受講する場合に延長されるのが訓練延長給付です。
所定の受給期間を超えて公共職業訓練が行われる場合は、受給期間は職業訓練を受け終わる日までの期間となります。
訓練延長給付は、訓練終了までの期間は所定給付日数を超えて基本手当を延長して支給されます。
広域延長給付
厚生労働大臣がその地域の雇用について必要があると認めて指定した場合で、公共職業安定所長が広域職業紹介により職業のあっせんを受けるのが適当と認定した受給資格者が対象になります。
その地域の失業が多くて基本手当の受給率が多い等、その地域で職業に就くことが困難と認められる場合です。
90日を限度として所定給付日数を超えて基本手当を支給します。
全国延長給付
厚生労働大臣は、失業の状況が全国的に著しく悪化し、「連続する4月間の各月における全国の基本手当の受給率が4%を超え、同期間の各月における初回受給率が低下する傾向になく、かつ、これらの状態が継続すると認められる」場合に、必要があれば指定する期間内に限り、所定給付日数を超えて受給資格者に基本手当を支給する決定をすることができます。
指定する期間に限り、所定の受給期間に90日を加えた期間内の失業している日について、90日を限度に支給されます。
地域延長給付
地域延長給付は、倒産、解雇などにより離職した人(特定受給資格者)や、労働契約が更新されなかったことにより離職した人(特定理由離職者)のうち、雇用が不足する地域に居住し、かつ、重点的に再就職の支援が必要であると公共職業安定所長が認めた場合に対象となります。
地域延長給付が認められた時は、所定給付日数を超えて基本手当を60日間延長して支給されます。
技能習得手当
技能習得手当は、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受給資格者が受講する場合に、職業訓練を受けた期間について支給されます。
技能習得手当には、受給資格者が公共職業安定所長の指示した職業訓練等を受けた日について500円が支給される受講手当と、職業訓練に通うために交通機関や自動車を利用する受給者に対して支給される通所手当があります。
受講手当は日額500円ですが、40日分が上限となっています。
通所手当は、片道2キロ以上ある場合に、月額42,500円を限度に支給されます。
通所手当は月額なので、基本手当の対象とならない日や、やむを得ない理由なく職業訓練を受けない日がある場合は、日割り計算で減額した額となります。
通所手当は交通費ですが、受講手当は何のためのものかイマイチよく分かりません。一応、受給資格者が受講しやすいようにある手当みたいです。
寄宿手当
寄宿手当は、公共職業安定所長の指示した職業訓練(2年以内のもの)を受けるために、生計維持関係にある親族と別居する場合に支給されます。
寄宿手当の額は、月額10,700円となっています。
寄宿手当も通所手当と同じく月額なので、親族と別居して寄宿していない日があれば、日割り計算で減額した額になります。
傷病手当
傷病手当は、病気やけがで15日以上、仕事につけない場合に、基本手当を受けられない日について支給されます。
15日未満については、証明認定によって基本手当を受けることができます。
証明認定とは、以下に該当する場合に、その理由が止んだ後の最初の失業認定日にどうして出頭できなかったかを記載した証明書を提出することで失業認定を受けられるというものです。
・疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭できなかった場合において、疾病又は負傷が継続して15日未満であるとき
・公共職業安定所の紹介で企業等と面接するために、出公共職業安定所に頭できなかったとき
・公共職業安定所長の指示した職業訓練を受けるために、公共職業安定所に出頭できなかったとき
・天災その他やむを得ない理由のために、公共職業安定所に出頭できなかったとき
傷病手当を受けるには、基本手当を支給すべき日までに、傷病手当支給申請書を提出します。
傷病手当の額は、基本手当の額と同じになり、傷病手当の支給日数分は、基本手当から差し引かれます。
傷病手当は、基本手当の支給残日数が限度に支給されます。
また、給付制限期間(自己都合退職等)、待期期間(7日)については基本手当が受けられないので、傷病手当も受けられません。